"村上春樹「エルサレム賞」受賞スピーチ"を読んでみた

某所で、"村上春樹「エルサレム賞」受賞スピーチ"(元々は英語でのスピーチらしい)が話題になってたので、読んでみた。実は、この方の小説はまったく読んだことないんだけど・・・。
"The system"っていうのが、どう理解したらいいんだろう。もし、"組織"だとか"共同体"とかって解釈できるのならば、この内容はものすごくよくわかる。
"system"っていうのは、一体何なのだろう。人間が構築したにもかかわらず、やがて人間自身がそれに拘束されてしまう。ジャングルか孤島で1人で暮らしているようなことでもない限り、それとは無関係に生きられない。
どんなに自由に生きたいと思っても、普通に生きていけば、"system"というものに巻き込まれる。本当に"自由"なんてことはない。その"system"において、何らかのポジションを持たされてしまう。そして、その"system"にコミットすることにより、収入を得て生きていくことになる。それで、生きていくために、その"system"を守っていかざるを得なくなる・・・。
人の話す内容も、結局はポジショントークでしかないと思ってしまうと、何となく寂しくなる。その人自身はいい人でも、その人のいるポジション上、そういうことを言わざるを得ないんだな、って思ってしまうことがある。自分自身もその状況から完全に逃れることはできないしなぁ。勤め人やってると、そういう気持ちになることばかりだ。なんとかならんのか、とは思うけど、なんともならないんだろうなぁ・・・。
小林秀雄が、"「犬は何故しっぽを振るのかね」「しっぽは犬を振れないからさ」"って書いている。確かに深刻だわ・・・。